8月が嫌い
毎年、ジリジリジワジワと不快さを増してくる暑さに、
普通の人なら「夏だ!」とワクワクしたりするのだろうか。
私はあまりにも8月は嫌い過ぎて、「うわあ、また8月が来るのか…。」と今でもなるのです。
何より、毎日毎日酒を朝から晩まで常にお茶や水よりも飲んで家にいるような父親が居る家に毎日いなければいけなかったのだ。
私達がいない間に酒がなくなれば、酒屋にツケで買いに行かされる。
酒屋のおばあちゃんに、よく苦虫を噛み潰したような顔で「大変だねえ…。」と何度言われたことか…。
夜働く母は昼は家にいるので、子供には毒でしかない性 的な 行為が始まり出すと、
私達はやり場にない気持ち悪さで追い出される前に察して目的もなく外に出て遊ぶ場を探す。
本当に気持ち悪いしかなかった。
帰宅すると暑くてうだる部屋の空気が、更に汚れ淀んだ空気になっていて思わず息を止めたくなる。
できる限り家に居たくないのと、夜は夜で酔っ払いの父親が狂ったように子供達を並べ座らせ、釣竿(態度が父親から見て悪いと判断されたらその釣竿で赤痣ができるような強さで叩かれるのだ)片手に「おまえらはな!」と、お前なんかに言われたくない説教をえんえんと始められ、
挙げ句の果てに「子供はもう寝ろ!」と深夜番組を見るために子供達を強制的に寝かすのだから、夏休みドリルに向かい集中する時間などないのだ。
(そんなお子さんがいたら気にかけてあげてください、ネグレクトや家に落ち着いていられる場ではないのかもしれません)
夏休み中に宿題を終えれる事は全く、毎年度先生に怒られていた気がする。
そんな父親が、猛暑日といわれた盆過ぎのある日、屋外にある便所に行こうとした途中で倒れて死んだ。
母親は居たので、救急車を呼び運ばれたがもう心臓は止まっていたらしい。
死因は心筋梗塞と肝硬変。
子供でしたので、あんな父親でも悲しかったようで一晩泣きつくしたようだが、
私達兄弟は翌日の葬儀では全く平気だった。
みんな、心の中で何もいわなくても
「あんな身勝手なことで怒り狂い殴り、子供にいろんな意味で心身に様々な痛みのあることしかしない存在と暮らさなくて良いようになったんだ…嫌な日々がもう今日から来ないんだ」
もう、不思議とみんな涙が出なくなって、
火葬場で鬼ごっこが兄弟で始まり、知らない親戚や訪れた人々は「あんなに気丈にふるまって…かわいそうだね。」と私達を見ていました。
火葬場の煙突(昔は煙突があったのだ)から登る父親の火葬から登る煙を見つめている母親が、不意に私に話しかけてくる。
「さっき、煙の先に光っているのがあっただろう。あれはきっと父さんだろ。死んじゃったんだねえ。」というと、
急に激昂にて私の顔を見、「あんたのせいだ!あんたが病気だから(先天性心疾患)だから気にして死んだんだ!」と、私に向かい泣き叫び言ってきた。
父はシラフの時に他人には「お金がかかる」、「女の子に傷跡があったらかわいそうだ。」という理由で、受診と手術を勧める大人の提案を断っていたが、
本当のところは違うところにあった。
病院に行けば虐 待がバレるからだ。
他の兄弟も、同じ理由でどんなに体調悪くても病院に連れて行かない。
そんな大人の上部と真相を子供の頃から見ていると、
圧倒的に人に対しての信頼ができなくなってしまうのでした。
私達はそんな風に育ってきました。
残酷なようだが、死んでも悲しんでもらえないような親。
みなさん、なりたいですか。
自分でも、一歩引いたところでそんな父親かわいそうだと思う。
でも、怒りや嫌悪感のが圧倒して勝つのだ。
私は今でも、命日だから参ろうとか、手を合わせたいとか思うことができません。
何にも知らない父親の兄弟は、
「父親に感謝しなさいね。親なんだから!」と、当たり前の常識を言ってくるが、
悪いとは思うが体裁合わすだけの為に手を合わせるたくもないし、墓の前に行っても何にも祈ることをしたくないとも感じてもしまっている。